「役立たず」の文法的考察をしてみた!
昨日、お昼ご飯を食べているときに
「なにもできないことをなんと言いますか?」
と技能実習生の子に質問されたので
「役立たず、かな」
と答えました。
「ああ~」
と技能実習生の子はうなずいてから
「や・く・だ・た・ず」
と言いました。
「やくたたずだよ」
と教えたあとも
「やくだたず、やくだたず」
と発音を繰り返していましたが、どうしても「だ」になってしまっていました。
「役立たず」を文法的に考察してみよう
ここで、私たちは何気なく発音を使い分けていますが、普通は役に立つことを「やくだつ」と言います。反対なら「やくだたない」です。他にも「やくだてる」「やくだった」等の言葉を使っています。
「やく」+「たつ」→「やく・だつ」というように、前の言葉にくっつく際に「た」の音が濁って「だ」になっているのです。
しかし、役に立たない人や物を言い表すときだけは「やくたたず」と言っています。「た」が濁らないのです(後ろに打消しの「ず」が付くための音便でしょう)。
私たち(ネイティブの日本語話者)はこれらを無意識に使い分けていますが、それがベトナム人技能実習生には難しいところのようでした。
他にも「先・走る」「欲・張る」「花・ざかり」等、くっついた頭の音が濁るケースがたくさんあるのですが、ただ「役立たず」のようにおしりに「ず」がついて人や物を言い表す言葉が他に思い付きません。
例えば、欲張りな人のことを「よくばり」と言い表しますが、欲張りじゃない人のことを「よくはらず」とは言いません。
ですから、この「役立たず」という言葉は、他に同じような生成由来の言葉のグループが存在しない、非常に珍しい言葉だということができるかもしれません。
ともあれ。
私が技能実習生の子に「でも悪口だからあまり人に言っちゃだめだよ、特に◯◯さんとか□□さんとかに言っちゃだめだよ」
と言うと、
「にやり」としていました。
それでは今回はこの辺で。また記事を更新しますのでお待ちくださいね(*´∀`)♪
ごきげんよう、おりかなでした。