介護の「元」技能実習生グエンさんの場合
「今はお姉さんの店でメイクの仕事してるよ」
「ベトナムに戻ってから肌荒れが全部なおった」
「最近太ったからダイエットしたい」
帰国したベトナム人技能実習生はどのように暮らしているのだろうか。
この春に帰国したベトナム人「元」技能実習生のグエンさんとは時々LINEでメッセージのやり取りをしている。
ビデオ通話をするときもあるが、住んでいる場所のWi-Fiが安定していないと画面が固まったりする事もある。
音声通話だけなら問題ない。
国際電話が無料でできるとは私が子供の頃には考えられなかったことだ。
「電話代高いから切るぞ!」という決め台詞? が出てくる漫画(あまいぞ!男吾)もあるくらいだったが、あと高額の国際通話料を親にとっちめられる話(BREAKAGE、だったかな)とかもあったが、今となってはそのようなエピソードは登場することはなくなったということだろう。
帰国した「元」技能実習生は介護の仕事はしない
さて、グエンさんは介護の元技能実習生であるが、帰国後に介護の仕事をしているわけではない。
そもそも技術実習制度の目的は、建前上は日本の先進的な技術を途上国に移転することで国際貢献を果たすことであった。
しかし、ベトナムと言えば今やすでに日本に迫るほどの高齢化社会なのだが、職業としての介護職は確立されていないのが現実なのだ。
日本で介護の仕事を覚えて帰っても介護として働く場がないのだ。
都市部は別としても、それ以外の場所では高齢の両親とひとつの家に暮らしているベトナム人の家庭はまだまだ多数派である。
儒教的な、年長者を敬う文化が色濃いベトナムでは両親の面倒を子供が見るというのはごく当たり前なのだ。
結婚や恋愛にしても親に反対されたら諦めざるを得ない、という若者もまだまだ多いのである。
改めて言うが、介護の技能実習生が帰国後に介護の仕事に就くケースはほぼ無いと言っていい。
そこが技能実習制度の闇というか、日本国内で人手が必要な業種だから技能実習生を受け入れているというのが実情なのだ。
それらの事情を踏まえて、介護の技能実習生が習得した技術と日本語を活かすとしたら、日本に残って日本の介護業界で働くことがベストという事になるだろう。
事実、技術実習から特定技能に移行し日本語で試験を受けて介護福祉士を取得するベトナム人はかなり多いのだ。
さて、帰国した元介護技術実習生のグエンさんに話を戻すと、帰国後しばらくは実家でぶらぶらしていたようだ。
日本に来る技術実習生としては例外的にグエンさんの実家はだいぶ裕福なようである。
グエンさん自身も日本に来る前にベトナムで学校を出て看護師の資格を持っており、なんならその道で働くこともできたはずである。
なんで看護師やらないの? と聞いたら「親の希望で看護師の資格を取ったが血を見るのが嫌だったから」と言っていた。
ちなみに韓国の看護師資格があるとそのまま日本でも看護師として働けるが、ベトナムの場合はカリキュラムが異なるためそのままでは日本で看護師として働くことはできないらしい。
今はお姉さんの店でメイクの仕事をしているようだ。
結婚式やイベントの時にメイク道具を持っていって他の人のメイクをする仕事との事。
ネイルアートやまつ毛エクステも行っているらしい。
どのくらい儲かるものなのかはわからないが仕事は楽だ、と言っていた。
今は儲けは少ないが、自分の店を持つようになれば儲けは増えるとのことだ。
ベトナム人全体にそうなのかはわからないが、あまり熱心に仕事をし過ぎることはないように思われる。
日本にいた頃は、私が定時過ぎまで残っているとに「仕事本当に好きだね、働きすぎ、体を悪くするよ」と言っていた(もちろん私の体調を心配しての事だ)。
グエンさんは日本にいた頃はストレスでかニキビがずっと治らなかったり最後の年は花粉症になったりしていたが、帰国してからは肌荒れが綺麗に治ったとの事だ。
最近は会う人にしばしば太ったと言われるそうで、ダイエットしたいと言っている。
そんなグエンさんの今一番の問題は幸せな結婚をすることなのだ。
おわりに
技能実習制度は早晩、廃止されるだろう。まず第一に、いま搾取され苦しんでいる技能実習生たちを救わなくてはいけない。彼らの犠牲の上にのみ日本人の暮らしが成り立つような日本国であってはならない。この制度を続けていくことは日本にとって将来的にマイナスになるだけだ。
願わくば、故国に帰ったベトナム人「元」技能実習生たちが幸せな人生を生きられますように。
彼らに関わる者の一人として、その事は切に思っている。
それでは今回はこの辺で
おりかなでした
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