杉下右京の名台詞「はい⤴️?」
この間、テレビで「今でしょ!」の林修先生が、肯定の表現である「はい」に疑問の用法を与えた事が日本語文法上の事件だった、というようなことをドラマ「相棒」が社会に与えた影響のひとつだとして語っていた。
言うまでもなく、
「はい?」は水谷豊さん演じる杉下左京の代表的な台詞のひとつである。
同様のことを、井上ひさし神がアニメ「ポケモン」の「ゲットだぜ!」という台詞が、日本語としてある程度の定着を見せたことについて、英語の動詞である「get」に日本語の動詞「する」をつけることで新しい日本語の動詞が生まれた、もしくは、英語の動詞から日本語を生み出す様式が一般化した、と言うようなことを仰られていた。
(チャレンジする、等のように名詞に「する」を付けて動詞化することは以前からあった)
以上のようなことから
てっきりこの「はい?」という用法は
ドラマ「相棒」が元祖なのだと思っていたのだが。
どうもそうではないらしい。
というのも、
私の愛読書のひとつである「戦闘妖精雪風」の続編である「グッドラック」
その文庫版471ページに登場人物の台詞としてあったのである。
「はい?」が。
フムン、これはどちらが先かなのだろうか?
調べてみると、
2002/10/9「相棒」放送開始
1999/5「戦闘妖精雪風 グッドラック」ハードカバー刊行
2001/12/15「グッドラック」文庫版初版発行
という事で、
「相棒」よりも「雪風」の方が若干、早いようである。
(改訂などが全くなされていないとすればだが)
ともかく、
本来は肯定の意味で使われていた「はい」に、
「はい?」と疑問のニュアンスを持たせて使われるようになったのが、
もしかしたら1999年前後だったのではないか
という仮説を立てることはできそうである。
かように言葉というものは時代の移り変わりと共に変化するものであり、
それは日本語学とか国語教育等からの発信ではなくて、
ドラマやアニメという娯楽や大衆の文化から発生するものなのだ、
という点が興味深い