室堂・立山の山小屋情報
ヒュッテはドイツ語でHütteつまり山小屋のこと。なのでゴースト ヒュッテ はドイツ語と英語の混合で本来はおかしな言葉だった。
ちなみに英語でHütteはhutというらしい。リンガーハットのハットだね。
廃墟ファンはぜひ訪れたい! 雷鳥沢ヒュッテ
紅葉を見に、今年は室堂(立山)に行った。
宿泊したのは、雷鳥沢ヒュッテ。
本当はミクリガ池温泉(なんせ日本秘湯を守る会の宿だし)か雷鳥荘に泊まりたかったのだが、予約がとれなかったのである。
雷鳥沢ヒュッテはその名のとおり、雷鳥沢のキャンプ場のすぐそばである。
ということは室堂のバスターミナルからちょっと離れているのだ。
雄山に登ろうと思ったらいったん室堂まで引き返すか、別山折立に向かうしかない。
しかもいずれにしてもザックをデポできずに背負っていくしかない。翌日の宿は天狗平山荘に決めていた。
うーむ。
そこで今回は御山はパスして奥大日岳に登ることにした。
これならば雷鳥沢ヒュッテにザックをデポしていくことができるし、ルート的にも無駄がない(早くつきすぎるかもしれないくらい)。
さて、いくつも乗り物を乗り継いでやっとたどり着いてみれば室堂は濃いガスのなか。
ロープウェイからすでに何も見えなかった。
おまけに小雨もぱらついていた。
室堂到着は15:30、すでに少し薄暗くなり始めていた。
景色は全く見えなくて、ただ道をたどって雷鳥沢を目指した。
石畳の道をどんどん下る。
これは明日の登り返しがきついぞ、と思った。
やがてガスの中からぬぼーっと巨大な建物が浮かび上がってきた。
雷鳥沢ヒュッテだ。
うひゃー。
薄暗くなってきたガスのなかに建つ雷鳥沢ヒュッテは、まるで廃屋、お化け屋敷のようだった。
人の気配がしない。
灯りもついていない。
本当に泊まれるのかなと思った。
正面に回ると1階部分の壊れた板戸が目についた。
そこからだと3階? 灯りがひとつだけついているのが見えたが、それがかえって不気味だった。
さらに回り込むと、やっと入り口が、2階部分についていたのだった。斜面に建っているので。
さて、雷鳥沢ヒュッテだが、とにかくボロい。泊まった部屋には「雨の時には雨漏りすることがあります」との張り紙が。
壁や天井もかなり年季が入っている。
それは綺麗なレトロ感とは真逆の、思わず背筋のぞわっとする古さ、劣化や風化の過程にあることを感じさせた。あと10年もしたら、雷鳥沢ヒュッテは無くなっているかもしれない、なんてかなり強い現実味を帯びたことを思った。
とはいえ、食堂や浴場などの施設は綺麗にたもつ努力が払われていた。
お風呂はなかなか気持ちよかったし、温泉も良かった。
ちなみに、雷鳥沢ヒュッテの個室は布団しかない。ファンコンベクターみたいな暖房器具が据え付けてあったがまだ稼働していなかった。
スマホの電波は弱いが室内でも届いた。Wi-Fiはロビーのみ。スマホの充電は無料で、各階にコンセントが用意されていた(個室にはコンセントがなかった)。
消灯後も廊下には煌々と灯りがともっていた。ゴミ箱もなかった。タオルも持参するしかない(売店で売ってはいたが)。
トイレは水洗、温熱便座だった。
水は無料。
食事は、山小屋と考えれば十分おいしかった。
日帰り入浴もやっていて、脱衣場には無料の貴重品ロッカーがあった。
結論
スマホが無料で充電し放題、広いお風呂も、温泉もある(しかも男女別!)、トイレも水洗だ!
生ビールも飲める。
山小屋として考えればすごく贅沢だ。
不快な臭いとかはゼロだった。
ただし、快適さを求めるならば他の宿を探してもよいだろう。
室堂から奥大日岳に登るなら、宿泊地として申し分ない。