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都会でクマに出会ったらどうする? ― 東京での目撃事例から学ぶ命を守る行動

近年、東京をはじめとする都市部でも「クマの目撃情報」が連日のように報告されています。山間部に限らず、住宅街や駅の近くでクマが現れるニュースを耳にすることも珍しくなくなりました。
「まさか都会でクマなんて」と思いがちですが、現実には人間の生活圏と野生動物の生息域が重なり始めているのです。

そこで今回は、実際に町中でクマに遭遇したケースを取り上げつつ、「もし自分が出会ったらどう行動すべきか」を整理してみます。


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東京・奥多摩での実際の事例

2023年秋、東京都奥多摩町で民家のすぐ近くにツキノワグマが現れ、庭先の柿を食べているのが発見されました。住民は慌てて玄関に飛び込み、警察に通報。幸いクマは森に戻り、大事には至りませんでした。
この事例では「不用意に外に出て近づかなかった」ことが住民の命を守った大きな要因でした。

また同年、青梅市の住宅街でも通学路にクマが現れ、小学生たちが教員に誘導されて学校に避難するという出来事もありました。いずれも怪我人は出ませんでしたが、行動ひとつ誤れば危険はすぐそばにあります。


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クマに遭遇したとき「絶対にやってはいけない」行動

1. 走って逃げる
 クマは時速40km以上で走ることができます。人間が逃げ切れる相手ではありません。背中を見せると追いかけられる危険も高まります。


2. 大声で叫ぶ・威嚇する
 山中で遠くにいるクマに「人間がいる」と知らせるために音を立てるのは有効ですが、至近距離で急に大声を出すと逆に興奮させてしまう恐れがあります。


3. 写真を撮ろうとする
 最近はスマートフォンをすぐ構える人が多いですが、これは非常に危険。数秒の間にクマが接近する可能性があります。




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正しい行動 ― 町中で出会った場合

1. 落ち着いてその場に立ち止まる
 突然出会ったときほどパニックになりますが、深呼吸をして相手を直視せず、落ち着くことが第一歩です。


2. 静かに距離を取る
 クマがこちらに気づいていない場合、気配をできるだけ消しながらゆっくり後退します。建物や車の中に避難できるなら即座に入りましょう。


3. クマを刺激しない
 目を合わせる、石を投げるなどの挑発は絶対にNG。クマは攻撃と受け取りやすく、突進してくる恐れがあります。


4. すぐに通報する
 警察や自治体の窓口に知らせることで、他の住民への被害を防げます。




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実際に助かったエピソード

岩手県盛岡市では、2022年に住宅街で買い物帰りの女性がクマに遭遇しました。彼女は慌ててバッグを落としましたが、走らずに近くのアパートの階段へゆっくり後退。幸いクマは落ちたバッグの中の食べ物に気を取られ、その隙に建物の中へ避難できました。
このケースでは「走らずに退避した」ことが功を奏したと専門家も指摘しています。


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町中での備え

ごみを放置しない:生ごみや果物が誘因となります。

通学路や散歩コースの情報を確認する:自治体が公開する「クマ目撃マップ」をチェック。

クマ鈴やラジオ:山間部では有効ですが、住宅街で常に使う必要はありません。むしろ遭遇時の落ち着いた行動が最も重要です。



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まとめ ― 「都会だから大丈夫」はもう通用しない

東京の一部でもクマの目撃が相次いでいる今、「自分は遭遇しないだろう」と油断するのは危険です。
もし町中で出会ったら――

走らず、刺激せず、ゆっくり距離を取る

建物などの安全地帯に避難する

必ず通報して周囲に共有する


この三点を心に留めておきましょう。

都市部に現れるクマは、人間に危害を加えようとして来るのではなく、多くの場合「食べ物を探して迷い込んでしまった」存在です。しかし一度人間が怪我を負えば、そのクマは駆除対象になり、命を落とすことになります。
つまり、私たちが冷静に正しい行動を取ることは「自分の命」だけでなく「クマの命」を守ることにもつながるのです。

都会でクマに遭遇することは珍しいですが、決してゼロではありません。普段から心構えを持ち、落ち着いた対応を心がけましょう。

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