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参考までに 岸田政権「原則なき親中従米」

「原則なき親中従米」の岸田政権 核廃絶めぐり現実離れした理想論 あきれ返る各国首脳、広島G7を乗り切れるのか

5月に開かれる広島G7(先進7カ国)首脳会議を前に、岸田文雄首相が参加国を歴訪した。岸田首相は出発前、記者団に「法の支配やルールに基づく国際秩序を守り抜く姿勢を各国首脳に訴える」と強調したが、私は「どこまで説得できたか」と疑問に思う。

むしろ、各国首脳たちは「キシダという男は『夢の世界』に生きている。世界の現実を、まったく分かっていない」と腹の中であきれ返ったのではないか。

具体的に指摘しよう。

サミットの広島開催が示すように、岸田首相は「核廃絶」に固執している。だが、核による威嚇は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が再三、ウクライナでの使用をちらつかせ、いまや現実になった。

日本はといえば、米国の「核の傘」こそが最大の抑止力であるのは、言うまでもない。にもかかわらず、核廃絶を訴えれば、日本が唯一の被爆国であるのを割り引いたとしても、各国首脳は「おいおい、大丈夫か? 日本は核の傘はいらないのか」と首をかしげるのは当然だ。

世界の常識から見れば、あまりに現実離れした理想論なのだ。そんな浮世離れした話をしているようでは「とても真面目な安全保障の議論はできない」と思われたに違いない。

証拠を1つ上げる。

米国のシンクタンク、大西洋評議会が1月、世界の識者167人に「今後10年の間に核兵器を持つのは、どの国か」とアンケートをした。結果は1位がイランで回答者の67%を占めた。2位はサウジアラビアの32%、3位が韓国の19%で、日本は4位、14%だった。

世界の識者は「核を廃絶できる」などと思っていないどころか、近い将来、日本が核を保有する可能性すら「小さくない」と見ているのだ。

岸田首相が昨年5月、ジョー・バイデン米大統領との首脳会談で合意したはずの、「核の拡大抑止をめぐる閣僚協議」という話も、その後、進んだ様子はない。相手は「オマエは核廃絶なんだろ。そんな相手と話ができるか」と思っているのではないか。

次に「法の支配」や「ルールに基づく国際秩序」といった話はどうか。

確かに、バイデン氏もそんな話をしている。だが、ホンネでは「ロシアや中国相手にルールに基づく国際秩序など、とっくに崩壊している」と見切っている。あくまで建前を言っているにすぎない。

例えば、米国は世界貿易機関(WTO)の紛争処理で最終審理をする上級委員会の委員を選ぶプロセスを阻止し続けてきた。その結果、WTOの紛争処理手続きは2019年以来、機能停止したままだ。

は、米国が発動した対中半導体規制でWTOに提訴したが、米国は痛くも痒くもない。WTO自体の機能を止めてしまったからだ。米国のホンネは「ルールを強化しよう」ではなく、「中国を封じ込めるためには、何でもやる」なのだ。

岸田政権は、米国の半導体規制に同調するだろう。そうなれば、日本もWTOの無差別、公平原則に違反する。米国は「ルール違反」も先刻、承知の上で断行しているが、岸田首相は「日米同盟の結束」と「ルール重視」のうたい文句が両立しない現実に、まったく気がついていない。

一言で言えば、「原則なき親中従米」路線こそが、岸田政権の本質なのだ。こんな調子で、広島サミットを乗り切れるだろうか。先が思いやられる。

■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」、ニコ生で「長谷川幸洋Tonight」を配信中。

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